AIの普及やビッグデータの活用で注目されるデータサイエンティストですが、本記事では、データサイエンティストの女性比率についてデータから考えてみます。
女性比率の現状
現在、日本のデータサイエンティストの数は約13万人と増加傾向が続いています。(*1)また、AI・IT人材として高い需要があり注目度も上がっています。
そんなデータサイエンティストですが、一般社団法人データサイエンティスト協会が2023年に実施したアンケート調査(*2) によると、女性の比率はわずか1割とIT業界の中でも特に低い状況にあります。
さらに、出身学部や研究科を見てみると(*3)、工学系のバックグラウンドを持つ人々が大半を占めており、この理系重視の傾向が、女性の参入を阻む一因となっている可能性があります。
また、データサイエンティストという職業自体は比較的新しく、前例が少ないため、出産や子育てと仕事の両立に対する不安や、管理職などの上位ポジションでのキャリアを描く際に参考となるケースが少ないことも要因の一つと言えます。
出典
データサイエンスにおけるD&Iの取り組み
一方で、社会全体で女性の活躍を推進し、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)(*4) を促進する動きが強まる中、データサイエンス分野でも働きやすい環境の整備や女性のキャリア支援も進んできています。こうした社会の流れに伴い、メディアでも女性の活躍が取り上げられる機会が増え、参考にできるロールモデルも徐々に見つけられるようになってきています。
また、データサイエンス教育においても、需要の増加に伴いデータサイエンス系学部の新設が進んでいます。特に、滋賀大学データサイエンス学部では、来年度から入試に女子枠を導入するなど、ポジティブアクションもとられています。さらに、中高生向けにもSTEM教育(*5) やデータサイエンス教育が広がっており、データサイエンティストの認知度は若い世代にも広がりを見せています。
(*4)D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)とは
多様性(Diversity)と包括性(Inclusion)を指し、多様な人材を活かし 誰もが活躍できる環境を作る取り組みのこと
(*5)STEM教育(ステム教育)とは
科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、数学(Mathematics)の4分野に重点を置き、問題解決能力や創造性を育む教育のこと
女性データサイエンティストはまだまだ少ないのが現状ですが、女性の活躍がさらに広がることで、多様性がもたらす新たな視点がデータサイエンス分野の発展に寄与することが期待されています。
様々な取り組みを通じて、男性・女性問わず誰もが平等にキャリアを築ける環境が整うことで、より多くの人々の選択肢が広がる一歩となると考えています。